Letter From 

   LosAngeles

麻痺


BANG!CROW アメリカ警察ネタ4部作!第一弾!
危険度5!

Episode 2「麻痺」

 その晩俺はブラジル人の友達数人とサンセットストリップと言う通りにある俺一押しの「バーニーズ」という世界的に有名なバーに飲みに行っていた。

 ブラジル人と飲むのは非常に楽しい。なにせ「サンバの国」からやって来た人達だもの、騒ぎ方も飲み方も半端じゃない。飲み始めて15分後にはカーニバルだ。それも店中を巻き込むほどの騒ぎっぷり!飲む、歌う、騒ぐ、踊る・・・

 ビールなんてちまちま飲んでられない。缶ビールの下に針で小さい穴を開け、そこに口を着けたら缶のフタを開ける。ビール一本飲み干すまで約五秒!ゲップ・・思い出しただけで気持ち悪くなる・・・

 ちなみにロスではベロンベロンに足腰立たなくなるまで飲んじゃ絶対ダメ!自分をコントロール出来ない奴は誰も相手にしてくれないし介抱もしてくれない。そんな奴はバーで飲んじゃいけないのだ。

 まぁそんなかんやで延々と夜6時半から夜中の2時までくり返して行く。よくもまぁ死者が出ないものだと感心する。

 かなりの量を飲んだのだが汗だくだくのため酒もいい感じに抜け、ヘリコプターの音がウルサイ以外は、よく晴れた月の綺麗な夜だった。

 この期におよんで「じゃぁ飲み直しだ!」という話になり、俺達はこの近くに住む友達のアパートへ向かい「月のぉ〜砂漠をぉ〜」などとブラジル人に教えながら歩き出した。

 だがその時!事件は起こった!

 突然上空からサーチライトが俺達に向かって照らされたのだ!

 それと同時に6人の警官がワラワラとどこからともなく湧いて出て来た!

 おまけに皆手にはハンドガンを構えているではないか!もちろん酔いは一気にさめた!

 失礼だがその時頭がパニクっていたため「服部君」を思い出してしまった。

 「フリーズ」と「プリーズ」は違うんだぞ!などと必死に自分に言い聞かせるしまつ。

 後で聞いたがその時俺は一番情けない顔をしていたらしい。

 俺達の言い分など一切聞かず、すぐさま頭の上で手を組まされ冗談抜きで頭に銃を突き付けられた。身体検査を満遍なくされたあげく、ち○こをガッ!と握られるはタバコは全部ばらばらにされた。そして膝裏を警棒でガッンと叩かれ、地面に強引にうつ伏せにされた。挙げ句の果てには靴の中まで調べられ、なんと靴の中まで懐中電灯で覗いている。友達などは反抗したために警棒で腹をどつかれてゲロ吐いている始末。しかもそのゲロの上に寝かされていた。

 いつのまにか警官の数は増え、パトカーも3台ほど集まって来ている。

 頭の中では「帰国」の二文字がグルグルと回っている。いゃ!その前に刑務所か!?となるとやっぱりホモの囚人にケツを・・・イヤー!!ヤメテー!!

 などと半泣き状態でいると、一人の警官が大声で怒鳴った。すると手錠がすぐさま外され「あっ」と言う間に全ての警官は姿を消した。

 後には深夜2時に半泣きのブラジル人4名と日本人1名がパンツ一丁でたたずんでいた。僕らは無言で服を着て靴を履き、無惨にも財布からほっぽり出されたカードや金を拾いそのまま各自の家へ帰っていった。

 ロスでは怪しい奴を3人取り締まれば必ず当たると言われている。警官も優しい言葉など掛ける余裕など無いのだ。80年代、ロスが今程安全でなかった時代には、そんな事をしてしまったがために殉職してしまった警官は沢山いるらしい。

 「それも1つの協力ってやつだよ・・・」と日系3世の友達はつまらなそうな顔をしてつぶやいた。今となっては笑い話でこの程度では何とも思わなくなった。だが「帰ろうかな・・・日本に・・・」当時は本気でそう思ったものだ。

 だんだん感覚が麻痺してきている。