Letter From 

   LosAngeles

今だから言いたい事


「今だから言いたい事」

今回いつものようなネタはナシ。ちょっとマジメな話し。

俺は映画オタクだ。かなりのオタクだ。ただ恋愛ものはごめんだ。
他人のノロケ話しなんぞ観たくもない。
アメリカはポップコーン(大)とコーラ(大)と入場料で約700円、映画馬鹿にはうれしい限りだ。

昨年2本の戦争映画が公開された。
「プライーべート・ライアン」と「ティン・レッド・ライン」だ。
両方とも戦争をテーマにしてはいるが、異なる視点とアプローチで戦争を描いている。どちらもとても素晴らしい映画だ。
まぁ「プライーべート・ライアン」も「ティン・レッド・ライン」もアカデミー賞で「恋に落ちたシェークスピア」などと言う「タイタニック」級のクソ映画に敗れてはいるけどね・・・あれは酷い映画だった・・・

まぁいいや。
戦争映画は最近昔の戦争ものと違った描き方をされている。
冷戦が終わったからだろうか?善と悪というものから、戦争の実態と悲劇になってきている。ここ最近の映画だと。
「プラトーン」「ハンバーガー・ヒル」「フルメタルジャケット」少し古いが「地獄の黙示録」なんてのもある。
基本的にはベトナム戦争を描いたものだが、笑える映画でもないしどちらかと言えば後味の悪い映画だ。スターウォーズなんかとはエライ違いだ。

ベトナム人の友達がこんな事を言っていた。
「アメリカの戦争映画は嫌いだ」
なるほど、分からない訳じゃない。ベトナム人差別用語がバンバン出てくるもんな。
でもちょっと過剰反応しすぎじゃない?そう思うよねやっぱり。

ずいぶん前に「ティン・レッド・ライン」を観に行った。
多少だらけてはいるがイイ映画だった。
しかし2度と観る事はないだろう。少なくともアメリカで観る映画ではなかった

御存じの方も多いだろうが、「ティン・レッド・ライン」は第2時世界大戦の連合軍と旧日本軍のガダルガナル島での戦争の話だ。
兵隊がその中で何を考えているかがメインの映画で、戦争のシーンは少ない。
つまり娯楽としての要素は少ないわけだ。
こっちの映画鑑賞の仕方は、感情移入して皆で大騒ぎが基本。
その映画館に「気の毒なアメリカ人」の中で日本人は俺1人だった。最悪だ。
観客から日本兵に浴びせられる言葉は全て日本人を罵倒する時に使われる言葉だ。
映画を観た方なら分かるとおもうが、主旨に関わらず観客の対応はそんなもんだ。
はじめてベトナム人の友達の言った言葉が理解できた。

しかしみんなどうだろう?
「ランボー2」「プラトーン」「ハンバーガー・ヒル」「フルメタルジャケット」または「トップ・ガン」でもいい。それらを観た時、敵と呼ばれるモノが倒される時にはきっと笑顔でいたハズだ。「映画と現実は違うのだ。だからいいんだ」ほんとうにそうだろうか?

俺は思い違いをしていたと思う。それら全て「差別」の一種だと感じた。
日本で人種的な差別を感じる事は難しい。当たり前の話だ。
こういう事を言われた事がある。
「白人社会に憧れ勘違いした人種。数学はできるが教養に乏しいし責任感がない」今の日本にいる友達、俺も含めて考えると返す言葉もない。
もちろんそうではない人も大勢いる。素敵だ。ただ貴方の回りはどうだろう?

ここから先は俺が海外に住む日本人と話し、気が付き、納得し合った事を中心に書く。
個人的な意見としてとらえないでほしい。まぁ、同意見だから書くわけだけどね・・

この国で生活しないと分からない事がある。
ラップ・ミュージックは黒人のものであり、白人には白人の社会、黒人には黒人の社会があり、アジア人にはアジア人の社会があり文化もある、そして日本はまぎれもないアジアだ。そんな単純なことが影の様に生活に影響してくる。俺は数年前までハズかしながらそんな事にも気が付かなかった。
そして人類みな友達などと本気で信じていた。

「お前と俺は肌の色が違う。唯一ホントに分かりあえるのは、
 俺達は白人じゃねぇって事だ。だろ?」

酔っぱらった黒人の友達が俺にそう言った。俺は何も答えなかったけどね。

ちょっと話しズレるけど、アメリカ兵と結婚した日本人の女性はかわいそうだ。
正直言って、士官クラスの旦那じゃないと悲惨だ。日本から離れなければ幸せだったのに・・と思う。ここだけの話し。士官以下の兵隊って頭が悪くて他に行く場所がなかったって考えが一般的。アメリカに来ると、近所付き合い大変らしい。
特に人種コミュニティーに入れないから子供もかわいそうだ。
けっこう離婚して行き場がない女性を見かける。日本人特有の光景だそうだ。

話しを戻そう。

俺は大した愛国者でもないし宗教に入ってるわけでも思想を持っているわけでもない。
「井の中の蛙」数年前の俺を指した言葉だ。
国際的に認められた日本というのを勘違いしていた。
日本は本格的な侵略を受けた事も、他民族との共存もした事のない国。
そして人種、民俗差別は戦後日本においてあまりにも聞く事のない問題だ。(アイヌの方々ごめんなさい)高度経済成長で国際社会の一員として認められた日本は、実は国際的に見たら異常なほど無知だと思う。
特に他民族社会の中で、白人社会と呼ばれる時代は終わった。これからは・・・などとニュースで平気で流している日本はおかしいとしか言い様がない。

俺は日本がかなり好きだ。だからこそあえて言いたい。
あまりにも閉鎖的で楽観視しすぎている。

俺はこの国で生活して「自分の立場」をいやという程思い知らされてきた。
非観的になっているわけじゃない。留学生のほとんどが経験するジレンマだ。
あっ!卑屈になってんじゃないよ。ただ現実の話しをしているだけだからね。

ベネトンの数年前の広告はよくアメリカ人にネタにされる。
発展途上国の若者が笑っている写真と渋谷の若者が笑っている写真が一枚のポスターに収まっている広告だ。あんなものを全世界にばらまかれて平気なほどボケていると思われている。確かに返す言葉もない。
しかし日本のテレビをこちらから観ていると何も考えてないんだなぁと感じ卑屈になってしまう。善悪のメリハリは似たようなモノだが、心配になるほど小さいコミュニティーで国際的に無知なのかが伝わってくる。

島国根性も悪くはない。しかし自分が何様なのかハッキリ知るべきだと思う。
数年前、ガラにもなく自分がアメリカ映画の主人公に憧れていたのを思い出す。
現実は留学生のほとんどが感じる人種というくだらないモノでいくら叫んだところで簡単に撃ち破れない最もくだらない壁だった。

文化、分明、国境、宗教、人種、国家そして差別。
日本では考えられないほど大きな問題がこの世界にはびこっている。
特に人種についてもっと深く考えなくてはと思う。
しかし世界はどうにかしてこの呪縛から逃れられないものだろうか?

日本は素晴らしい国だし国際的に重要な位置を占めるようになってきた。
だけど一人一人の意識の低さは世界でも珍しいほどだと思う。
そして俺自身こそがまぎれもなくその一人だ。深く反省している。
俺の無知がどれだけの日本人に迷惑となるのだろう・・・
「なにをやってたんだ!もっと勉強しろ!日本の恥じさらしめ!」
ごもっともです!
「またぁ!海外生活者はすぐそう言うんだよなぁ。それただの自慢だよ」
はぁ・・そうっスか・・・気の毒に・・・死ね!人類のカスめ!

いろんな人種がもっと仲良くなれればいいのになぁ。でも向こうはそう思ってない人結構いるんだよね・・・難しいよね・・・でも覚えておかなくちゃいけない事がある。
・かっこいいだけで異民族や異人種のカルチャーを軽々しくまねしないという事。
・金にモノを言わせないという事。(大阪のおっちやん!きぃつけや!評判悪いで!)
・そして自分の立場を理解しなくちゃいけないという事。
これって他民族世界の最低限の常識だと思うんだ。

以下この前帰国した時に友達が言ってた言葉

「深刻ぶんなって。大した事じゃネェよ。
 俺もアメリカ人の友達いるけど仲いいぜ。そんなの一握りだって。
 だいたいさ、他のアジアと一緒にしてほしくねぇよな。
 知ってっか?東京はさニューヨーク、パリと同じぐらいのファッションの街なん
 だぜ。それに日本は金もあるしな。だってほらハワイなんかもう日本じゃんか。
 それにさ、お前は知らねぇだろうけど、ラップだって最近日本でも結構コアな
 奴らでてきたんだぜ。知らない?ドラゴン・アッシュって?」

この前ドラゴン・アッシュとやらを聴いてみた。
「悪い奴らはみんな友達」だって・・・可愛いね「ば〜か」

無知と阿呆は絶対悪だ!この結論、間違ってます?